1時限目では個人を対象とする仕事について見てきましたが、一方で法人を対象とする事業分野も生命保険ビジネスには重要です。金融業界では法人向けの事業や大口取引を対象とした事業を「ホールセール」と呼んでいます。
企業や公益法人、官公庁や地方自治体に対して提案を行い、主に従業員や職員の福利厚生に関する商品やサービスを提供しています。
企業が抱える課題を発見し、保険事業を通じて蓄積した多様なノウハウを駆使し、課題解決のためのソリューションを提供するのも私たちの仕事。企業に対して幅広い領域でコミュニケーションを深め、ビジネスに繋げようとする活動をRM(Relationship Management)と呼んでいるのです。
団体保険とは個人向けの保険を「組織単位の大口取引」として行うための保険商品のことで、個人契約よりも保険料が割安になるだけでなく企業が福利厚生の費用として掛け金を負担するケースも多く、「従業員が安心して働き、暮らせる環境づくり」を担っています。もう一つの「年金保険」はオーダーメイド型の退職金制度や企業年金制度の設計・提案などの総合的なコンサルティング活動が中心です。
中堅・中小企業の中には、こうした制度整備が追いついていないケースが数多くあるため、「従業員の将来の暮らしの安心」と「企業の経営上のメリット」を両立できる、個社の事情を十分に配慮したアドバイスや制度提案への期待が高まっています。
第一生命が法人向けに行なっている活動はほかにもあります。企業への中長期資金の融資や、株式を一定期間保有し安定株主として経営をサポートするといった取り組みもあります。また、近年では資金調達を含む財務部門へのアドバイスや事業リスクに対するサポート業務なども欠かせない活動となっています。
ホールセール部門において私たちが期待されているのは保険や年金、福利厚生の知識だけではありません。
お客さまとの会話や財務諸表から経営課題を探り当て、それを解決に導くことのできるスキル。そして、同時に提案内容を的確に伝えるプレゼンテーションスキルも問われます。
また、企業のお客さまは業界、業種、企業規模により個別の事情やニーズがあるため、提案のほとんどは、お客さまの要望を反映させたオーダーメイドの提案。マニュアル通りではないからこそ難しく、難しいからこそ、個人の力は磨かれ、成長することができるのです。