DAI-ICHI BUSINESS SCHOOL


6限目 スタート 資産運用/まとめ 資産運用分野のポイントを知ろう! 今回の講師は運用企画部の遠藤崇裕さんです。

こんにちは。遠藤です。私たちの仕事についてしっかり理解してくださいね。

資産運用の役割

生命保険事業は、お客さまに安心をお届けする「保障の仕事」と、保険料としてお預かりした資金を長期にわたり安全かつ有利に「運用する仕事」を両輪として推進することによって成り立ちます。
現在(2014年9月末)、第一生命がお客さまからお預かりし、運用している資産は35兆3814億円。世界でも有数の規模ですから、国内はもとより、海外の運用市場においても多大な影響力を持つ「機関投資家」として知られています。「生保マネーが…」などと新聞の見出しを飾ることもあり、多くの関係者がその投資行動に注目しています。

資産運用の基本

皆さんは「ポートフォリオ」という言葉を知っていますか。ポートフォリオとは「投資家の金融資産の一覧および構成」のことで、それを見れば、どのくらいの資産をどのような種類の資産で保有しているのかがわかります。
資産運用は「ひとつの資産に偏ることなく、複数の資産に分散したほうが、安定した収益を得られる可能性が高い」という考えが基本的なセオリーですから、私たちは資産を公社債(債券)、株式、外国証券、貸付金、不動産などに分散して運用しています。

資産 → 不動産・貸付金・外国証券・株式・債券(ポートフォリオ)

また、私たちが運用している資金は、保険金や年金としていつでも、あるいはお約束した期日に、確実にお支払いすることを前提にしています。そうした性質の資金ですから、一時的に大きく儲けるという発想ではなく、長期かつ安定した運用を目指さなくてはなりません。
同時に、少しでも有利な運用を追求することも求められていますから、安全・安心を優先しながら、一方ではリスクをとって攻める姿勢を持ち続けることも大切です。「ポートフォリオ」の策定や入れ替えは、そうしたバランスを保持するために不可欠であり、国内株式、外国株式、国内公社債、外国公社債といった運用資産の配分をわずかに動かすだけで、運用結果が変動します。
そのため、私たちは経済情勢、金利・為替・株式などの市場動向の分析をはじめ、将来の予測をくり返し行ないながら、「ポートフォリオ」の調整を行っています。

ポートフォリオの調整イメージ

私たちの取り組み

では,次に「ポートフォリオ」の内訳をごらんに入れましょう。
右の図は2014年9月末における第一生命の資産運用の概況です。すぐに全体の約8割が有価証券によって運用されているとわかりますね。そして公社債のウエイトが高いことにお気づきいただけると思います。公社債は国債、社債、公共債といった古くからある債券のほか、最近市場に数多く出回るようになった証券化商品なども含みます。債券は株式に比べて堅実な運用を行いやすいことから、安定を重視する生命保険会社は、この分野への投資を主軸としています。

ポートフォリオ内訳 公社債・国内株式・外国証券(有価証券) 貸付金 不動産 その他 現預金・コールローン

株式は値動きの大きい投資資産とされていますが、当社では社内アナリストの調査に基づき、的確な銘柄の入れ替えを行いながら運用効率の向上を目指しています。

外国証券は主に公社債と株式で運用しています。債券は為替の動向に留意しつつ、種類や期間、通貨の分散を戦略的に図ることでリスク・コントロールを行っています。株式は自ら運用を行うインハウス運用と外部の運用会社を組み合わせた「マルチマネージャー運用」により投資スタイルの分散を図り、運用力を強化しています。

貸付金は企業の信用リスクをモニターしながら企業への長期融資を中心に進めています。比較的短期の融資が中心の銀行と異なり、生命保険会社は時に10年を超える長期資金の供給者として産業界を支えています。

資産運用部門の仕事にはどんな業務があるのだろう?

仕事内容

続いて、第一生命の資産運用部門には、どんな業務があるのか紹介します。
まず、市場に向き合い、タイミングを見ながら売買の指示を出す業務があります。通常「フロント」と呼ばれます。日々の運用は投資目的や投資商品別にファンド(資金)を運用するチームに分かれています。ファンドを任され、直接運用に携わる人はファンドマネジャーと呼ばれます。ファンドマネジャーの裁量は資産により異なるため一概には言えませんが、たとえば債券のファンドマネジャーであれば数千億円規模の運用を任せられ、自らの判断で売買を行っています。
そして、フロントの後方には売買が確実に行われたかチェックし処理を行ったり、損益の動きを管理する「バック」「ミドル」と呼ばれるサポートグループが控えています。

さらに、市場動向と運用全体の動きを視野に入れながら、各ファンドの持ち高を調整したり、運用資金全体の配分(アセット・アロケーションと言います)の調整を行う業務があります。こうした仕事は一般にアセットアロケーターと呼ばれます。

資産運用業務 企業融資・不動産運用 アセットアロケーター フロント バック(ミドル) リスク分析と管理 ヘッジファンド・新商品の調査 投資法の研究 社外へ発信

そのほか、企業融資、不動産による運用、リスク分析と管理、ヘッジファンドや新商品などの調査、金融工学やマクロ経済理念を用いた投資法の研究、アナリストやエコノミストが行う調査・研究、運用状況を社外に発信する仕事などがあり、業務を通して特定分野の専門性を伸ばしていく社員も少なくありません。

第一生命の仕事塾は本講座で完結です。資産運用の仕事について理解を深めることはできたでしょうか。
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